さていよいよ地面の塗装に入る。
実は地面の色というのは、作品の中でモデライズした国や地方をある意味決定付ける事が出来る重要な位置を占める。
例えばロシア・ウクライナ地方では黒土が一般的だし、ベトナム中央高地ではピンクがかった赤土で、サハラ砂漠は黄色っぽい砂の色、シリア・ゴラン高原は灰色がかった砂というふうにだ。
今回のダイオラマに登場するイタリアの土壌は、山岳地帯に入ると石灰分が多くなるので白っぽい黄土色になるが、低地では大抵茶褐色である。イタリアの家の屋根にあるテラコッタという素焼きの瓦の殆んどが明るい褐色であるのは、その土地の土を焼いて作っているからで、決して朱色のペンキで塗装しているのではない。
いつも地面の塗装に使用する塗料には下地はタミヤ水性アクリルを、ドライブラシには油絵の具を使う。理由は手軽に使えて安く使いべりしない塗料だからという事がいえるが、同じ理由でたまにガッシュを使う時もある。
このガッシュという絵の具は乾くと完全なつや消しになるので、例えば夏のノルマンディ地方にあるような埃っぽい道を塗装する時なんかにはとても重宝する絵の具だ。
塗装工程の実際
【ステップ 1】
まずエアブラシで藪の部分をやや明るい茶褐色、泥道には暗く濁った褐色で塗装する。一気に塗ろうとしないで、何度かに分けて塗るとムラや塗り残しがない。

【ステップ 2】
下塗りが乾いたら次は油絵の具でドライブラシする。最初は下地に塗った色と似た色でブラッシングし、段々と色調を明るくしながら最終的に黄色がかった明るい茶色でディテールを強調してやる。ちなみに使用している筆は百均で購入した水彩用筆をカットしたもの。右はドライブラシが終わったあとの地面のアップ。

【ステップ 3】
次に建造物や藪の部分の塗装をする。画像はroadside shrines の基本塗装が終わったところ。
この後ドライブラシとウォッシングを施して老朽化したような風合いを加えていく。

【ステップ 4】
ダイオラマ上にあるすべての塗装が完了したら、ベース上にJeepやフィギュアを置いてみて、全体をザッと見渡し色調が調和しているかどうか確認してみる。どこか浮いている色はないか、雰囲気を壊すような強過ぎる表現はないかなど、いろいろな角度から見てOKだったら次のステップへ移行する。

【ステップ 5】
このステップで最終となる。泥にはさまざまなタイプが存在するが、今回表現したい泥は比較的水分の多いドロドロビチャビチャしたものだったので、道路全体にグロス・メディウム(ツヤだし剤)を塗布し水分を表現した。また窪んだ部分には後でエポキシ・ボンドを使い水溜りを表現する予定である。
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以上、地面の塗装が完了した訳であるが、別にコレといって新しい技法や特殊な工程を経ている訳でもなんでもない。しかし実はそこの所がミソで、難しい技法や特殊な素材を使わない、至極オーソドックスな技法でも充分満足のいく作品作りは可能なのである。
新しい技法に対して決して否定的ではないが、基本的な工程を経た上でないとただの小手先のものになってしまう。基本なくして上達はありえない。時代は移り変わっても、トラディショナルなものは未だ健在だったりする。